全国的に暑さが厳しくなってきているこの頃ですが、
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
京都の日中はまだ涼しい風が吹き抜けています。公募シナリオの舞台に
指定されている元・立誠小学校の周辺は、祇園祭の真っただ中。
通りを歩けば浴衣姿の人々もちらほらと目に入り、納涼気分を味わえます。
さて、今回は[映画24区KYOTO]スタッフがお届けする、シナリオ応募の
ススメ第二弾!!第一弾でお伝えしていたシナリオ作りのポイント、
「1. 舞台に合ったストーリーを作ろう」、「2. ロケハンをしてみよう」
を踏まえたうえで、実際にスタッフがストーリー作りに挑んでみました!
当サイトの「元・立誠小学校フォトギャラリー」の写真を基にして、
シナリオにおける「プロット(あらすじ)」を組み立てています。
言ってみれば、シナハンのシミュレーションですね。
公募シナリオ執筆中の方々には刺激に、執筆前の方々には参考に、応募
予定のない方々にもひとときのお楽しみになれば幸いです!
では、しばしお付き合い下さい!!
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「気がつくと僕はここに立っていた。見るからに古そうな小学校の校庭。ずっとここにいたような気もするし、さっき来たばかりのような気もする。それすら分からないくらい、僕は混乱していた。僕は何も覚えていないのだ。自分が誰なのかも、なぜここにいるのかも。
「見つかるかどうかも分からない僕自身の手掛かりを求めて、僕は小学校を歩き回ってみる。校舎に近づくほどに強くなる、雑草と土と木の匂い。
「足を踏み入れると感じ取れる、ひんやりとした空気のかたまり。ここの時間はおそらく、とてもとてもゆっくり流れている。僕は、ここがもう使われていない校舎なのだと、そっと悟った。
「誰もいない教室をのぞく。すると、幻が鮮明に浮かび上がる。夏休みが待ち遠しくて、終業式の日にはしゃぐ子供達の声。それをいさめようと怒鳴る先生。通信簿の見せ合いっこに、みんなでプールに行く日の相談・・・。これは一体誰の記憶なのだろう?
「階段をあがってゆく。ふいに思い出される誰かの背中。それは小さくて、髪の長い女の子だったはず。それが誰なのかまでは思い出せないのだけれど。
(フォトギャラリーより畳の写真)
「三階、畳の間。僕は、すりきれてしまう前のこの畳を知っていた。先生に怒られて正座させられたとき、こわくて、くやしくて、こっそりと畳の目をむしっていた。
「そうだ、僕は昔、この学校にいたんだ。
「僕がこの学校の生徒だったとき、さけられない運命が来て、僕は友達から引き離された。それ以来、僕はずっとここにいる。どうして今まで忘れていたのだろう?どうして今頃思い出したのだろう?
「講堂前で、何かをカメラで撮っている人たち。たぶん、僕はこの人達に呼び起こされたのだと思う。僕はきっと・・・」
「ソツギョウシャシンを撮ってほしかったんだ。友達がみんなそうしてもらったように。」
「気がつくと僕はここに立っていた。立誠小学校、僕が通っていた学校の前。僕は自分が誰なのか忘れてしまった。だけど、もうそんなことはどうでもいい。僕が確かにここにいた、その「記念」は残ったのだから。
「何年、何十年かぶりに、僕は小学校の外を歩き出してみる。校舎が遠くなるほどに僕は僕でなくなっていく。すぐに僕はどこにもいなくなってしまうのだろう_____。」
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いかがだったでしょうか?これでもまだ、シナリオの大きな骨組みが
出来上がっただけの段階。ここから血を足し、肉を足し、服を足し・・・
何度も推敲を重ねてシナリオは完成に近づいていきます。
本コラム担当のスタッフも応募する気満々の[短編映画シナリオ公募]、
締め切りは7月末日!
ライバルの皆様が思い描く、独創的なシナリオをお待ちしております!
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