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映画24区KYOTO 2012 公募シナリオ、選考の結果と総評を発表いたします。
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応募総数108通という、こちらの予想を大きく超える数のご応募をいただき、運営事務局一同、反響の大きさに驚きと嬉しさを持って審査にあたらせていただきました。まずは皆さまの多大なるご関心と意欲に感謝いたします。
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全108通の応募状況内訳を明記しておきますと、地域的には、北は北海道、南は九州と、全国各地から(やはり数として多かったのは関東、関西でしたが)、年齢も上は60代から下は10代まで幅広く。男女比は若干女性が多いくらいで、ほぼ半々、という、まさに多種多様な応募状況でした。
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結果から申しますと、今回は「該当作なし」と決定しました。
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以下、審査員を代表して、谷口正晃監督からのコメントと、運営事務局からの総評を述べ、発表に代えさせて頂きます。
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【谷口正晃監督からの選考コメント】
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京都での映画作りに賛同し、シナリオを応募してくださった皆さん
全員に感謝いたします。本当にありがとうございました。
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しかし残念ながら、「この1本にかけてみよう」と思える出会いは、
今回ありませんでした。
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応募してくださった皆さんの熱意を思うと甚だ心苦しいのですが……
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作品の大小にかかわらず、1本撮るということは、そのシナリオに
心中覚悟でのめり込むということなのですが、そこまで自分の心が
つき動かされる作品がなかったというのが、正直なところです。
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どうかご容赦ください。
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__谷口 正晃
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【運営事務局からの総評】
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以下、「該当作なし」に至った経緯をご説明し、これをもって総評とさせていただきます。
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今回、
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「京都にある古い小学校校舎を舞台にした30分のドラマ、切り口は自由。撮影期間は2012年秋~冬を予定、撮影場所は京都の元・立誠小学校が中心。」
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というテーマを条件としました。応募作の中には、シナリオハンティングで現地を訪れて書かれたことが分かるものも多く見受けられ、元・立誠小学校の方からも、初夏の頃に問い合わせや見学の方が多く来られたとのことを伝えられ、皆さまの並々ならぬ取り組みの熱意が伺われました。
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審査は、事前告知していたように、谷口正晃監督、映画24区・三谷代表、シマフィルム・志摩代表の3者がすべての応募作に目を通し、それぞれの意見を出し合って候補作を絞りました。そして最終的な判断は、当選作を元に映画化のメガホンを取る谷口監督ご自身に委ねられました。
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シナリオを書く技術として高いもの、具体のアイデアが目を引くもの、映像化のイメージがしやすいもの、ヘンテコ(いい意味で)なもの…独自の特徴を出し、得も言えぬ魅力を湛えたものがいくつかの応募作にあったことは事実で、選考の際にも審査員それぞれ別個に引っかかったものが挙げられました。と同時に、全体を見渡してみると、応募条件のテーマの強さを超えるものが見当たらない、という状況も立ち現れてきました。
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応募条件のテーマ、すなわち「元・立誠小学校」です。
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元・立誠小学校という場所自体が、単にどこにでもある「学校」という記号的なものでなく、そこにはすでに特有の「物語」が横たわっていたように思います。厳密に境界を限定された学校空間(学校=世界といったような)というよりも、京都の市街地の独自の生活・文化・歴史を色濃く反映した佇まいと成り立ちを持ち、その地域全体と有機的につながった空間性がここにはあります。正面玄関の橋の下を流れる高瀬川の風情、その表通りの木屋町通りの夜と昼との表情の移ろい、その裏向こうの路地を越えた河原町通りや新京極通りの賑わい、そして東にたゆたう鴨川…と言った、まさに唯一無二の街の在り方に根ざし、街と分かちがたく結びついて息づいている「元・立誠小学校」。現実のその場所自体が、存在の根拠をその土地そのものに幾重にも重ねた強い個性を孕んだ場所であったということ。そういった場所を舞台にして、創作のキャラクターやストーリーが乗る違和感を感じさせない応募作、あるいはリアルを鮮やかに乗り越えてその作品世界にグイッと持っていく応募作、といったものが、今回の108通の中には見受けられなかったということです。
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元・立誠小学校が谷口監督ご自身の母校ということでもあり、その実感=リアルを超えるハードルが思いのほか高かったということも言えるかもしれません。しかしそれだけではなく、「その場所(=地域)を舞台として映画をつくる」という事を掲げている今回は、例えば地元の方々に完成作品をご覧頂く場合、この場所を舞台に作られた作品であるということを掲げて世に示す際に、この観点が大きなポイントになると考えました。
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こうした観点をもって、今回の「該当作なし」という判断はくだされたのですが、それでもこの「映画24区KYOTO 2012」では、プロジェクトの最後に映画を製作する事が決まっています。そのために、製作企画=シナリオは決めねばなりません。応募作の中からどれかを選出し、応募者の方と谷口監督でリライトを重ねていく方向も検討されました。しかしそれは、リライトの過程で、元々の応募作の作者の創作意図を尊重できず、本意を曲げてしまうことになる可能性も含まれます。候補の作はあり、検討は重ねられましたが、そういったことになる可能性を拭うことは出来ず、この方針も除外されました。このような検討を重ね、選考結果を導き出すのにおよそ2ヶ月。度々本件に関するお問い合わせもいただき、結果発表には多大な責任が伴うものと心していた次第です。
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以上で講評を終えますが、ご応募いただいた皆さまへ、重ねて感謝いたします。今回の結果は、審査員はじめ、我々運営事務局一同も今後を考える上での大切な機会となりました。またの機会にもぜひ、挑戦ください。本当にありがとうございました。
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また上述したように、本プロジェクトでは谷口監督によるオリジナル映画作品を製作いたします。その製作企画をどのように進めるかの検討については、近く発表致します。皆さまには引き続きご関心を賜りましたら幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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__映画24区KYOTO 2012 運営事務局
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関係各位
ご講評をいただき、深く感謝をいたしております。
何より、今回の結果については、シナリオ作家を志す者として厳粛に受け止めなければならないと感じております。
私自身、京都の大学を卒業していることもあり、ロケ地への訪問も含め、今回の企画には強い意欲をもって取り組みました。しかし、谷口監督の「京都への想い・母校への想い」は、私の想像を超えるほどに、強くて深いものであったのだと、痛感しております。
それに対して、私の「京都への想い」は、大学時代の楽しい記憶でしかありませんでした。そんなノスタルジックな感覚だけでは、その土地に根付く人々の内面を抉り出すようなシナリオを表現することは、難しかったということなのかも知れません。
それでも、今回を含めて、折に触れてチャンスをくださる映画24区の皆さま、シナリオ講師の大前先生、そして、シナリオの審査をしてくださる監督・プロデューサーの方には、あらためまして、心からの感謝を申し上げたく思います。
私は、シナリオを学び始めて3年半になりますが、そろそろ何らかの結果が欲しいところではあります。それでも、焦らず・腐らずの精神で、今後も精進していく所存であります。
今後とも、ご指導をいただきますよう、どうぞ宜しくお願いを申しあげます。
映画24区シナリオコース1期生/稲井一樹
稲井 一樹 さま
ご丁寧なコメントをありがとうございます。
運営側としましても、ご応募いただいた皆さまのご参加あってこその今プロジェクトであると感じております。
ひいては、その動きの中から映画の未来が生まれるのだと固く信じております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
シマフィルム 田中
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