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土曜の夜に(イントロダクションに変えて)
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「映画も俳優も挫折があるほうが好き。挫折しないと人は駄目だ」
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10月13日、土曜日の夜。ワークショップ1日目終了後、スタッフと有志の受講生で行った居酒屋にて、谷口正晃監督はそう語りました。
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映画24区KYOTO俳優ワークショップも第3回を迎え、いよいよ2012年度のプロジェクトもクライマックスを迎えようとしていました。思えば今年度は京都でこのプロジェクト自体を始めたばかり。7月の蒸し暑い空気の中、元・立誠小学校で8時間近くにまで及んだ第1回ワークショップを開催した頃が、懐かしく思い出されます。
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スタッフ間の結束も固まり、監督と受講生同士もすっかり打ち解け、運営、講習共にスタイルがやっと確立したと思えた矢先。ここでのプロジェクト終了には正直、名残惜しいものがあります。
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それでも、様々な人々の映画に懸ける思いがぶつかり合った3か月間は、きっと、それぞれの人生の大切な時間として残っていくことでしょう。
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ただ一方で、あくまで一個人のスタッフとしての想いですが、もっと「思い出以上」の何かを、ここに来てくれた全ての受講生に抱いてほしい、と感じるようにもなっていました。それが例えば、達成感や充実感でなくても。悔しさや焦燥、不安でもいい。ただの「思い出」ではなく、映画人としての「未来」を生きるための糧となるもの。それを刻み込んでくれたら___ 。そういう風に考えていたとき、冒頭で紹介した監督の言葉が聞こえてきたのです。
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京都からの新しい映画人発掘・育成を目的に運営されている映画24区KYOTO。全3回の俳優ワークショップをもって、年内の予定はひとまず終了。今後は講師・谷口正晃監督がメガホンを取る映画作品の製作&公開に向け、シナリオ執筆、キャストのオーディションが年を跨いで行われていくことになります。
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今年の映画24区KYOTOは、もしかすると、受講した全ての方にとって満足の行くものではなかったかもしれません。与えられた課題を吸収しきれなかった人、自分の実力に疑問を抱いてしまった人・・・そんな人もいることでしょう。
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そして今後予定される谷口監督作品オーディションでは、ほぼ確実に「落される」人が出てきます。
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演者のみなさんにとってはチャンスでもある本プロジェクトが、そのプロセスのある瞬間には、挫折の瞬間として刷り込まれてしまうかもしれません。
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そうなったとき、あなたならどうしますか?
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答えはそれぞれが自分で見つけるもの。 ですが、ヒントは谷口監督が熱く指導し、受講生がそれに応えた日々の中に転がっていた。そう我々は思っています。
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このレポートではそんなヒントを逃すことなく記録できれば、と願っています。ひょっとして、受講生の立場からは気付けなかった大切な瞬間に、このレポートを読むことで思い当たってくれたら。そして、それ以外の方々にとっては映画24区KYOTOの軌跡を理解してもらう手助けになれたら。
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では、今一度、あの真剣な時間へと舞い戻ってみましょう!
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初の集団演技が課題となった第3回
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10月13日。午前9時半から第3回映画24区KYOTO俳優ワークショップの受付が始まりました。会場は第2回と同じく、京都リサーチパーク町家スタジオ。
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受講スタイルもやはり前回同様、前半後半の2部制。基本的には年齢を基準とした、年少クラスが前半、年長クラスが後半となりました。
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前半クラスにはKBS京都のテレビ番組の収録で、2人の体験者が参加。他の受講生と同じ参加条件でワークショップに挑みました。このプロジェクトが世間の関心を集めるようになってきている。そう実感するトピックでした。
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10時から前半クラス開始。
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お互いのことを質問していくルールで、自己紹介。馴染の参加者も、初参加の人も、場の空気を共有してゆき、それからすぐに実技へ。講師の谷口監督から課題脚本を軽く説明。
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今回は某・国民的映画シリーズの一幕。個性的なキャラクターが繰り広げる人情喜劇。これまでは一対一の演技を追求してきた谷口監督のワークショップですが、ラストにして初の集団演技に挑戦することに。メインキャラクター3人と脇役4人のアンサンブル。谷口監督が多くを指示しないまま配役が伝えられ、スタンバイ。緊張の中、最初のチームが演技を披露していきます。
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こなれていない台詞回しとちぐはぐなテンポ・・・。だけどいつも最初はこんなもの。ただ、それ以上に気になったのは__
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「脇の人達も一緒に空気を作らないと」
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という谷口監督の指摘。そう、メインキャラクターが言葉を交わしているとき、脇役たちが皆一様に棒立ちとなっていたのです。
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外野ではなく内野手になれ
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このシーンでのポイントは、一連の流れの中で兄妹の立場がどう逆転していくか。妹が兄に詰め寄るうちに、兄の虚勢が剥がれていく・・・そんなストーリーを表現しなければなりません。
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ただし、その兄妹のやりとりを盛り上げるのは脇役達の仕事。舞台設定である義理人情に厚い下町の空気を築き、兄を非難し、妹の背中を押す。例え台詞のないときでも、気を緩めず、場に参加しなければならない。ああ、なんて難しいんや・・・。
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そこを、谷口監督はしっかりと見ています。
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「あなたたち、みんな内野手だよ。外野から見てるんじゃないんだ」
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谷口監督らしい、独特の言い回しで受講生の意識を変えていきます。
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1日目、前半クラス受講生の演技の噛み合わなさは最後まで続いたように見受けられました。
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実年齢よりも上の役を演じているからなのか?
慣れない集団演技の要領が掴めないからなのか?
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それもあったかもしれません。しかし一番の理由は「気持ちができていないから」に尽きたと思います。
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実技中、本来とは違う相手に台詞を投げかけてしまう場面が続出したことから分かるように、受講生たちは役に入り込むための気持ちの持ちように苦戦していました。
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テイクに入る前、しっかりとお互いの顔を確認し、役柄を把握する。監督の指示で、演技に入る準備を徹底していきます。
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「頑張れ!」
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谷口監督は何度も受講生にそう言ってハッパをかけました。
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一人の頑張りが、相手の感情の盛り上がりを生み、それが周囲にも伝わっていく・・・谷口監督にとっての芝居とは、本物の感情のやりとり。お互いが感情に突き動かされて、台詞を「言わされる」のではなく「言ってしまう」。そんな瞬間に辿り着くために細かく指導してゆきます。
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「当事者になれ。心を突き動かすものがあるのなら行動に出せ」
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登場人物の心の動きを自分のものとしていく挑戦を、ひたすら繰り返していきます。
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果敢なチャレンジの数々、そして驚きの2日目予告・・・
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谷口監督の指導の下、悪戦苦闘の中で1日目の前半クラスは終了しました。
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特にその印象が強かったのは、カメラを回しての撮影に挑んだラスト一巡。しなやかになりかけていた受講生たちも、力みが戻ってしまい、納得できない出来の人も多かったのではないでしょうか。
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それでも、実技中、受講生たちが節々に披露していた果敢な「チャレンジ」とも言える演技には、成功とまでは至らないまでも、翌日への可能性を感じさせるものでした。
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兄のふてぶてしさを表現するため、寝転がってみたり、お菓子を食べてみたり、相手の頬を軽く叩いてみたり・・・。
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もちろん、女性陣もそれぞれのやり方で、妹の衝動を表現しようと工夫していました。果たしてこの努力が、2日間のうちに形となることができるのか?見守る者として、期待と不安を胸に、明日を待つこととなりました。
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最後に谷口監督から驚きの発表がありました。これまでは行われなかった発想の挑戦を行おうというのです。
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それは「男女逆転」!
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無茶ブリとも言えるこの試みの真の意図、そして受講生がどうやってそれに応えたのか?レポートは注目のワークショップ2日目につづく!
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おまけ
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カラダをしなやかにする、わかめ体操。
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