重い持病を抱え、生きることへの希望が持てない高校2年生の由希はある日、破局的で美しい歌声を持つ同級生の麻希と運命的に出会い、バンドを結成する。そこに密かに由希へ思いを寄せる軽音部の祐介も加わり、由希の日常は一変していく__
1983年のデビュー以来、話題作を精力的に発表し続け、海外からの評価も高い塩田明彦監督。その最新⻑編監督作である本作は、塩田監督作中でも特にファンの多い『害虫』(2002)、『抱きしめたい −真実の物語−』(2014)、『さよならくちびる』(2019)を想起させる要素も多く、塩田監督の世界観が存分に表現された快心作となった。
主演は元さくら学院の新谷ゆづみ、日髙麻鈴によるW主演。『さよならくちびる』で二人と出会った塩田監督がその魅力を最大限引き出すため彼女たちを想定して書いたオジリナル脚本を見事に演じきった。共演に、今年から本格的に俳 優活動をスタートし、瑞々しくも躍動的な存在感を放つ窪塚愛流。また、現在の日本映画界になくてはならない重要な 俳優としての歩みを重ね続ける井浦新らが参加。さらに、劇中歌をナンバーガールとして出演したFUJI ROCK FESTIVALʼ21での演奏も話題となった向井秀徳が提供。塩田監督作品で向井の楽曲が流れるのは、『害虫』、『カナリア』(2004)に続いて三度目となる。